親孝行大賞受賞作品 ★こころぽかぽか賞★『元気が一番』

【お名前】曽川さん
【性別】女性
【年齢】79
【住所】大阪府藤井寺市

【「親孝行大賞」のタイトル】
「元気が一番」

【「親孝行大賞」の本文】
八十歳を目前に、振り返れば、私は親孝行らしきことをした記憶がない。子供のころ、「勉強をしなさい」という親に、「なんで勉強が必要なんや」と口答えし、親の言うことすべてに逆らい、よく口喧嘩をしたものだ。

私の結婚適齢期当時、娘は結婚して一家を成し、守るのが常道であると考えられていた。なので、母は私に見合いを勧めた。その母に、「ほっといて!私は売り物ではないわ。自分で自分の将来を決める」と啖呵を切って、母親を泣かせた。

だが、逆らう私に母は、
「自分の意志を持ち、自分の考えで生きていく子どもでないと困るしねぇ」と呟いたのをしっかりと覚えている。その意味では、私は自分の就職も、結婚も子育ても自分で決断し、精一杯の生活をしてきたつもりだ。黄泉の国で、母は、「あの子らしい。あれでいいのだ」と満足してくれていると信じたいのだが。

本当の親孝行とはとても難しい。友人の洋子さんは六十歳で脳梗塞を患った。不幸なことに、右半身が不随となってしまった。一人娘のお嬢さんが、就職をあきらめ、母親につきっきりで世話をしてきた。

他人の目には親孝行な娘と映るだろう。だが、洋子さんは、
「私の世話をしてくれるのはとても嬉しい。でも、あの子に結婚し自分の家庭を持ってもらいたいの」と嘆く。当のお嬢さんは、母親の手足となって十年。どうも母親から離れられないらしい。

私は彼女に何と返事をしたらいいのか分からない。ただ、「お嬢さんが元気で、あなたと一緒で満足しているならいいのでは…」と答えたのだが。

私の場合を考える。私は二人の子供に恵まれた。その子供たちが成人し、税金を支払う一社会人になって巣立ってくれた。これで親の役目が果たせたと肩の力を抜いたのを覚えている。それだけで満足だった。

加えて、それぞれが結婚し子どもを得て、京都と東京に住んでいる。今、彼らに望むことは「元気で生きていてくれる」ことが一番なのだ。健康に勝るものは何もない。若い家庭はそれぞれに多忙だ。その上で、親孝行を願うなら、親子であっても、気持ちだけでは伝わらない。

時々、「元気?」「ありがとう}などの優しい言葉をもらえたら何よりだ。今の私には、優しい言葉をかけてもらうことが、最大のプレセントであり、親孝行だと思っている。

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