親孝行大賞受賞作品 ★こころぽかぽか賞★ 『メールっていいね』

【ペンネーム(掲載時のお名前)】古賀さん
【性別】男性
【年齢】67
【住所】愛知県安城市

【「親孝行大賞」のタイトル】
「メールっていいね」

【「親孝行大賞」の本文】
休みの度に娘一家が東京から愛知まで車で帰ってくる。途中で渋滞や事故に巻き込まれないか心配だ。でも親の気持ちを察して、旦那の運転の横で娘がメールで状況を知らせてくれる。

「もう御殿場。富士山綺麗だよ」
「浜名湖で休憩」

娘のこのメールが私たち夫婦の不安をどれだけ取り除いてくれるだろう。時として、娘からのメールが途絶えるときがある。すると孫娘からメールが。
「ママ寝ちゃった。今、豊橋」
娘に似て祖父母の気持ちを良くわかっている孫娘だ。車中を想像してニンマリする。
「岡崎で東名降りたよ。もうすぐだよ」
最後のメールで妻がいそいそしだす。
「さ、ご飯の準備、するわね。お風呂はもう良いかしら。駐車場、空けといてね」
私は妻の指示に従って、風呂を沸かし、風呂で遊ぶ子供用のおもちゃも用意。最後に駐車場の車を詰めて、娘一家の車のスペースを確保しておく。こういった準備をしながら、私は遠い昔の同じ経験を思い起こす。

私も妻と娘二人を連れて夏休みと冬休みに九州の実家に車で里帰りしていた。出発の前の日に母に電話し「明日の夜着くからね」と伝える。
「急がなくていいからね。ゆっくり帰っておいで」と母は応える。いつも同じだ。

今、同じ立場になって思うのは、当時どんなに母が心配しただろうか、ということだ。あの頃は携帯電話も無く、途中の状況を伝えることもできなかった。いや、公衆電話はあったが、長いドライブで先を急ぐ私はその余裕がなかったのだ。

愛知から福岡まで十二時間以上かかる。走っている我が家は車の中でワイワイやっていたが、待っている両親はきっと今の私と同じで、心配でしょうがなかったに違いない。私は両親の心配を和らげる親孝行をちゃんとできない息子だった。夜遅くに到着すると、母も父もホッとした顔をしていたのを思い出す。

「ただいまぁ」

到着した娘の車から孫たちが大声で叫びながら降りてくる。それを迎えるニコニコした妻の顔が遠い昔の母のホッとした表情と重なる。さ、賑やかな一週間の始まりだ。

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