ちょっといい話『みんなが家族のことを考えた一年』志賀内泰弘

コロナは、禍(わざわい)であることは間違いありません。でも、これほど、みんなが、家族のことを考えた一年は、今までなかったのではないでしょうか。

「不要不急の外出は慎んでください」

そう言われて、多くの人が戸惑ったことでしょう。故郷に帰省するのは、「不要不急に」にあたるのだろか?うちは、母親が病気がちで、週末だけでも介護したい。うちの父親は、認知症が始まっており、一人にしておくの心配だ。

でも、もし感染したら・・・。
自分と家族の「いのち」を守るためだから・・・。
悩みつつも、「自粛」している人もいることでしょう。

両親と同居している家族も同じです。孫を時々、公園に遊びに連れて行ったり、息子夫婦と一緒に食事をするのが楽しみだ、という人もいるでしょう。一つ屋根の下にも関わらず、接触しないようにと部屋にこもり切りの人もいると耳にしました。

こんなコロナ禍で、
「どうしたら親孝行できるのだろう」
と悩める人のために、新装版「365日の親孝行」(リベラル社)が発売になりました。

年末年始やお盆、ゴールデンウィークに故郷に帰って、顔を見せられなくても、できる「親孝行」があります。同居していたり、近所に住んでいる家族の場合、工夫次第でもっと心の伝わる「親孝行」があります。そんな365通りの「親孝行」の方法を一冊にまとめました。

その中から、一つ、「ふと、思い立った時に電話する」というお話紹介させていただきます。

   *   *   *   *

女房とは、学生時代からの付き合いだ。そのため、わたしの「いいところ」も「悪いところ」も知り尽くしている。「いいところ」はさておき、「悪いところ」を指摘されると、「不快」になる。なぜなら、図星だからだ。いまだに、しょっちゅう言われること。

「なんで、連絡してくれないのよ! 電話1本くらいできるでしょ」
「……会議が長引いて」
「電話できるの? できないの? 夕飯の支度のことがあるんだから」
「しようと思えば……できるかな」
「い~い、あなたはね、そういう小まめじゃないところ、ルーズなところがいけな
いのよ。それができていたら、もっと出世してたはずよ!」

と、こんな具合だ。まったく、頭が上がらない。そんな女房に言われて、電話を「小まめに」掛けるように努めている。女房にはもちろん、ほかの人にもだ。

「ああ、ヤスオ。何かあったの?」
「いや、別に……いいだろ、用がなくたって電話しても」
「電車のホームね」
「ああ、今、博多駅」
「ホントは何かあったんでしょ」
「う……うん。実はさ、出張先でちょっとトラブってさ」
「人間関係?」
「あ、ああ……まあ、そんなところかな」
「昔っから人付き合いがヘタだからねぇ」
「うるせーよ」
「親に向かって何よ」
「あ、新幹線来た! また電話する」

女房いわく。それが親孝行になるという。

3年ほど前のこと。母の日に、どんなプレゼントを贈ったらいいかと相談したら、即座に言われたのだ。「たまには電話して声を聴かせてあげなさいよ」と。それがきっかけで、時々、「ふと」思いついた時に電話をするようになった。時間も場所も決めてはいない。

オフクロとの電話を切ると、新幹線のデッキからもう一本電話を掛けた。
「あらっ。ヤスオさん、お元気?」
耳元で、義母の優しい声が聴こえた。

   *   *   *   *

「親孝行」ってなんだろう。
会わなくても、会えなくても、感謝の気持ちを伝える方法はたくさんあります。コロナ禍はもう御免と言いたいですが、家族のこと、一番大切な人のことを考える良い機会になったという一面もある一年でした。平穏な日々が戻ることを祈るばかりです。

★志賀内泰弘 著
365日の親孝行(リベラル社)
https://amzn.to/38dLoGz

最新情報をチェックしよう!
>「親孝行のカタチ」が目指す社会とは?

「親孝行のカタチ」が目指す社会とは?

「親孝行」を通して家族が幸せになり、
社会全体も思いやりでいっぱいの世の中にすること

CTR IMG