ほっこり親孝行物語『サービスエリアの花屋さん』志賀内泰弘

「親孝行」というと、多くの人は、母の日、父の日のプレゼントを思い浮かべることでしょう。ある中学校で、「親孝行」というテーマで作文を書いてもらいました。もっとも、多かったのは、父の日、母の日になにか「モノ」をプレゼントする話でした。もちろん、昔から定番の「肩たたき券」や「お手伝い券」の話も健在でしたが。

さて、2014年に、「プチ紳士・プチ淑女を探せ!」運動のメルマガで掲載した「母の日」にまつわるお話を再録させてただきます。

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「サービスエリアの花屋さん」

ネクスコ中日本さんの研修会で講演させていただきました。その際、お客様からの届いたサンキューレターを教えていただきました。ちょっと心憎い「気遣い」で、なんだか嬉しくなりました。ここに紹介させていただきます。

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その日は、子供会の遠足でした。小学生の娘が帰宅するなり、
「お母さん、いつもありがとう」
と、私にカーネーションを差し出しました。その日は母の日でした。
「あら、ありがとう、キレイね」
と言い受取りましたが、それに答える間もなく、お風呂場へと走って行きました。どうしたのだろう、と見に行くと、珍しいことに掃除を始めたではありませんか。あまり大きな声で言えませんが、家の手伝いなど普段あまりしてくれません。それなのに・・・。
夕食の時、
「さっきは、お風呂掃除ありがとう。どういう風の吹き回し?」
と、少しからかうように尋ねました。すると、娘は目を輝かせながら話はじめました。

遠足の帰り道、休憩で高速道路のサービスエリアに立ち寄った時の事。その中に花屋さんがあり、カーネーションの花束が目に留まったそうです。花束には、カスミソウがあしらってありました。娘は、母親である私がカスミソウが大好きなことを知っています。そこで、母の日のプレゼントに買って行こうと思いました。値札を見ると、1200円でした。

でも、財布には、1150円しか残っていませんでした。遠足に行くために、特別にあげた2000円のお小遣いの残金です。あきらめきれずに、娘はバスの出発時間ギリギリまで、カーネーションの前で見つめていたそうです。すると、お店のお兄さんに声を掛けられました。
「母の日のプレゼントかな?」
「はい」
「ひょっとしてお金が足りないのかな?」
娘は、お金を財布から取り出して、50円足りないことを話しました。すると、
「じゃあ、足りない分は僕が出してあげるよ」
と言ってくれたのです。驚いて顔を上げると、お兄さんはニッコリ笑って花束を差し出して、こう言ったそうです。
「でも、その分、お母さんのお手伝いをするんだよ」

不足分のお金を出して下さっただけでなく、そんな温かな一言を添えていただいたことに感動しました。すぐにお店に電話をしましたが、その方はお留守の様子。そこで、こうしてメールでお礼を申し上げます。ありがとうございました。近く、私もお礼方々、花を買いに伺いたいと思います。花屋のお兄さんに、どうかよろしくお伝えください。

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どうやら、このお兄さんは、アルバイトのようです。そして、お店として「オマケ」したのではなく、お兄さんが自腹で50円を負担されたのです。それだけでなく、「お母さんのお手伝いをするんだよ」の一言。なんて温かな心の持ち主でしょう。
その一言を正直に受け取って、帰るなりすぐにお風呂掃除をする子供も素晴らしい! ただで、「お金をあげる」と言われたら、「めぐんでもらう」ようで、子供にしても受取りにくいかもしれません。「ああ、こんな手があったか」と感動しました。

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