【お名前】長谷川さん
【性別】女性
【年齢】30代
【住所】千葉県山武市
【「親孝行大賞」のタイトル】
「あたたかい布団」
【「親孝行大賞」の本文】
私が小学生の頃、21時になると寝室に行く決まりだった。冬の布団は入った瞬間はひんやりと冷たくて布団の中で丸まって震えた。母は私が寝た後にお皿を洗ったり洗濯物をまとめたり家事をしてから布団に入る。
お母さんが布団に入る時に暖かかったら喜ぶかな、お母さんの布団をあたためておこう。そう思って母の布団に入って待っていた。家事が終わった母は布団の中にいる私を見て少し驚いた顔をした後に私を抱きしめて「あぁ、あったかい。」と言った。そして朝までぴったりとくっついて一緒に寝た。
その話を聞いた父は「良いなぁ。お父さんの布団もあたためてほしいな」と言った。父の布団も暖めたいけれど母の布団も暖めたい。どうしたら良いか考えて父の布団と母の布団を交互に暖めようと思った。まずはお父さんの布団。次はお母さんの布団。そう思ったのに父の布団を温めるうちにポカポカと気持ちが良くなって眠ってしまった。
翌日父は「昨日はありがとう。布団とっても温かかったよ」と言った。母は嬉しそうに笑ってる。そんな両親の姿を見たら私の胸もじんわりと暖かくなった。
あれから20年以上が過ぎた。その間に反抗期もあった。実家から離れて一人暮らしもした。今私は結婚して子供もいる。でも寒い冬に冷たい布団に入るたびお父さん、お母さんの布団は冷たくないかしらと離れたところで暮らす両親を思う。どうかポカポカの布団で幸せな夢をみていますようにと祈るように思うのだ。