『お墓の草取り』|親孝行大賞

【お名前】川村さん
【性別】女性
【年齢】30代
【住所】神奈川県横浜市

【「親孝行大賞」のタイトル】
お墓の草取り

【「親孝行大賞」の本文】
温暖化の影響とジメ梅雨で今年の初夏は嫌が上でも草の伸びが目立った。コロナ禍で自粛が言われる中、一人暮らしとなると休みの日は庭の草取りに精を出さざるを得なかった。

作業中はマスクなし、身体の移動や立ち上がりには膝の筋肉を使うようにし、少しでもストレッチになるよう心掛けた。それでも芯のところは草の根をそれこそ根こそぎ抜き取ることに意を注いだ。上っ面だけではすぐにまた伸びてくるのを経験から知っていた。

そんな中、母から連絡が入り、墓参りに行こう、お線香を上げるだけでなくしっかり掃除をしようということだった。電車、バスに乗って辿り着いたお墓は予想通りびっしりと雑草が生えていた。

「よし、頑張るぞ」と掛け声を上げ、用意して行ったシャベルを縦にしつつくようにしながら根こそぎ取り除くよう努めた。

「ふうん」と言いちょうど隣のお墓に来た人がしきりに私の動作を見つめ、やがて「感心やな」と言いつつ帰って行った。

そうこうして小一時間後の帰り道、「褒められたなぁ、嬉しかったよ。任せられる気がしてきた。何よりの孝行だよ」とぽつりと父が呟くのだった。任せられるとは墓守とすぐに理解したが、無口で滅多に人を褒めない父の意外な言葉に、母と私は顔を見合わせて微笑んだ。

母の笑顔には「父さんに感心させる娘になって」と成長を喜んでくれているのが読み取れた。そうだそれならと、少し気張ったご馳走をおねだりしてみようと思い、「昼食は老舗のうな重で」と声を掛けてみた。

すると父が即座に「よおしまかせろ」と声を上げた。

ご機嫌なのが見てとれ、母が私に向かって腕を伸ばし親指を立てる仕草をしてみせてくれた。親孝行になったのかな、が確信に近い思いになった。久しぶりにいい日になった。

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